タイトル思いつかない

なんか書いたのを公開するやつ

ゲーム2

珍しく最近発売された作品をプレイした。

その感想をば。

 

atri-mdm.com

実績十分の製作陣によって丁寧に作られた良作。

休みの日など、手持無沙汰なときに、手にとってほしい一作。

有名レストランの名物料理を頼んで「これこれ!」って舌鼓を打つ感覚だった。

 

・プレイ順

 END1→BAD→TRUEEND

 ※というかほぼ一方通行。

 

・シナリオ

 原因不明の海面上昇で多くの陸地が海に沈んでしまった近未来が

 舞台のSF作品。

 幼少期の事故で片足を失った少年が、祖母が残した遺産である

 アトリというロボットと出会い。

 アトリはロボットでありながら、非常に感情豊かな個体であった。

 彼女は、「マスターが残した最後の命令を果たしたい」といい、

 そこから、少年とロボットの物語が幕を開ける。

 

 SF作品でありながら、難解すぎず、かつ浅薄でもなく、

 とっつきやすかった。

 また、少年(夏生)とアトリを取り巻く人々も個性的で、

 それぞれのバックボーンも重すぎず、軽すぎずで作品に深みを

 与えていた。

 テーマとしては、「ロボットに心はあるのか」という、SFでは

 普遍的なテーマに沿って、きれいにまとまったシナリオだった。

 プレイ時間は、6~8時間とノベルゲーとしては短めであるが、

 ロープライス作品(2,000円前後)ということを考えれば、十分。

 

・音楽

 ピアノメインとアコースティックギターメインの曲が多め。

 舞台の雰囲気にあった透明感のある曲調が、作風を引き立てていた。

 個人的には、タイトル画面で流れる「親愛なるあの日々へ」や

 「黄昏期の風景」がお気に入り。

 あとは「海中都市」を聞きながら、某海中を遊泳するゲームを

 やりたいな、と思った。

 OP曲の「光放て!」は、イントロ数秒で、「あっ、松本文紀さんの

 曲だ!」ってわかるのが好き。

 

・絵

 枕・ケロQで原画を歴任した基4氏と、おそらくこれがデビュー作であろう

 ゆさの氏のタッグ。

 新人イラストレーターを原画兼グラフィックチーフに抜擢するのは、

 すごい冒険だと思ったが、実際に立ち絵や背景・一枚絵を見ると、

 高いクオリティだった。

 個人的には、ホームページやOPムービーで使われている夕陽のシーンの、

 別差分の一枚絵がとても気に入っている。

 あとは水菜萌のキャラデザがこれぞ基4氏のキャラ!って感じで、

 大変良かったです(ただのファン)。

 

・総評

 すべての面で、高いクオリティを有する良作。

 ずば抜けた何かがある訳ではないが、すべての水準が高いため、

 十分楽しめる一作だと思う。

 ただ、悪く言うと、シナリオはある意味語りつくされたテーマを

 取り扱うが故に目新しさはない。

 そのため、あっと驚く展開を望むのであれば、期待外れに

 なってしまうかもしれない。

 しかし、クオリティの高い出来であることは間違いなく、

 良質な作品に触れたい、と望む人には手に取ってもらいたい。

 

 余談だが、展開的に動きがあるシーンが多く、決して地の文が

 絶対必要という作風でもなく、また、ルートが一本道という点から、

 おそらくアニメ化などのメディアミックスも織り込んで作られたのだと

 思われる。

 (そもそもブランドがaniplex傘下ですし)

 なので、ノベルゲー的な側面(選択肢やADV要素)は薄く、

 どちらかというと演出多めのヴィジュアルノベルというのが正しい。

 いずれにせよ、ゲーム発売だけで終わるコンテンツではなさそうなので、

 今後の展開も楽しみな一作。